パキスタンの「国民的詩人」ムハンマド・イクバールの本作は、ペルシア語とウルドゥー語の部分から成り、四十年間にわたる彼の思想・哲学を集大成した最後の作品です。
詩的技巧に優れた『ジブリールの翼』や哲学的思考に力点が置かれた『ムーサーの一撃』と同様、完成度の高い彼の詩はパキスタンの貴重な文学遺産となっています。
インド・パキスタン分離独立(1947年)以前の1930年代の英領インドにおいて、衰退の道をたどるイスラーム社会の行く末を憂い、イスラーム教徒の再生と覚醒を詩に託したイクバールの熱いメッセージを感じとっていただければ幸いです。