アジアの現代文芸の翻訳出版
ミャンマー
出版年月日 1990年11月14日
初夏 霞立つ頃
- 著者
- :マァゥン・マァゥン・ピュー 著
- 翻訳者
- :河東田静雄 訳
- 総頁数
- :443
ビルマ(現在のミャンマー)には、椰子の木登りという職業があります。20~30メートルもある高い椰子の木に上って椰子汁を採る、命がけの仕事です。1960年代、社会主義建設の時代を背景に、貧しい木登りの息子エースォエは、抑圧と差別からの解放を目指し、村人たちと共同体をつくります。椰子の木の所有主の娘キンタンテェーとの恋に苦悩しながらも、解放を夢見て闘い続けるエースォエ。この作品はマァゥン・マァゥン・ピューの処女作であり、ビルマ唯一の文学賞「国民文学賞」(1967年)を受賞しています。また、1972年には映画化され、“社会主義国建設の理想を讃えた麗しい青春物語”と絶賛されました。この作品のタイトルは、タァゥングー王朝末期の宮廷詩人が貧しい椰子の木登りの暮らしに心を痛めつつ歌った「初夏 霞立つ頃…」という有名な一節から始まる長編詩からとられたものです。