アジアの現代文芸の翻訳出版
マレーシア
出版年月日 1989年9月21日
バングルの虎
- 著者
- :シャーノン・アハマッド 著
- 翻訳者
- :星野龍夫 訳
- 総頁数
- :195
1960年代のバングル・ドゥルダプ村を舞台に、農民の対立を描いた作品です。純朴な農村にもやがて近代化や物質主義の波が押し寄せ、純朴であった人たちが西洋の影響を受けて混乱に陥っていきます。違った伝統をいとも簡単に受け入れてしまった人々のせいで、全てが灰に帰してしまった、ということがこの物語の核となっています。この作品に出てくる環境、雰囲気は、日本の伝統とそれほどかけ離れていません。万人に共通する人間の弱さや権力といったテーマが扱われています。主人公の「人間は全く自分たちのことしか考えていない。土地も痛みや悲しみを感じることがわかっていない」という言葉は、自然との調和の大切さを忘れかけている日本への提言のようにすら感じられます。