
- 現職 :
- 国立民族学博物館グローバル現象研究部 准教授
- 最終学歴 :
- 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程東南アジア 地域研究専攻修了(2011年)
- 主要職歴 :
-
2016年 人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター・センター研究員
2022年 国立民族学博物館グローバル現象 助教
2025年 国立民族学博物館グローバル現象 准教授
2026年 総合研究大学院大学人類文化研究コース 准教授
- 現在に至る

2016年 人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター・センター研究員
2022年 国立民族学博物館グローバル現象 助教
2025年 国立民族学博物館グローバル現象 准教授
2026年 総合研究大学院大学人類文化研究コース 准教授
黒田賢治『近代日本におけるイスラームの転回――漂泊する知の考古学』春風社、2025年.
黒田賢治『イラン現代史――イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』中央公論新社、2025年.
KURODA Kenji“The Intellectual Situation Regarding Islam during Meiji Japan: Reconsidering the Reference Materials of the Japanese Imagination of Muhammad” Annals of Japan Association for Middle East Studies 40(2), pp.91-116, 2025.
GREEN, Nile, KURODA Kenji and MISAWA Nobuo eds. What Did the Japanese Narrow Victory Bring to Global History? Proceedings of the International Symposium "The Echoes of the Narrow Victory over the Russo-Japanese War" (Tokyo, Dec. 7, 2024). Tokyo: Asian Cultures Research Institute, Toyo University, 2025.
黒田賢治「研究ノート 日本初のマッカ訪問者をめぐる予備的考察――1907 年の中島裁之の世界旅行と「メッカ」視察談を手がかりに」『国立民族学博物館研究報告』48(3)、 383-420頁、 2024年.
Academia and International Strategy” Iranian Studies 50(5), pp. 651-670, 2017.
KURODA Kenji and Tsubakihara Atsuko “Migration and Reconfiguration of Religious Rituals: The Case of Iranians in Southern California” Soeffner, Hans-Georgand Dariuš Zifonun eds., Ritual Change and Social Transformation in Migrant Societies. pp. 75-96. New York: Peter Lang. 2016. 『イランにおける宗教と国家―現代シーア派の実相』ナカニシヤ出版、2015年. 以上のほか、現在に至るまで論文著書多数
黒田賢治『イランにおける宗教と国家―現代シーア派の実相』ナカニシヤ出版、2015年.
以上のほか、現在に至るまで論文著書多数
備考 :2011年 地域研究博士(京都大学)
「現代イランの国家構造をめぐる総合的地域研究」に対して
黒田賢治氏は、中東における大国イランの支配構造をめぐり、イラン国家の権力基盤となってきたシーア派宗教界および軍の下部組織を対象に、2007年からイラン国内外でフィールド調査を長期間にわたり継続しておこない続けた。
その結果、『イランにおける宗教と国家』ナカニシヤ出版、2015年、といったような実証的な研究成果をあげたのである。このような現地調査に基づく研究は、欧米の研究者では実施するのがむずかしい状況のなかでおこなわれてきたため、貴重な実証的な研究として、国内外の研究者から注目されてきた。
黒田氏は、現代イラン研究の問題意識として、現代イラン国家が宗教界といかなる結びつきを持っているかを掲げており、イラン革命によって、イスラーム法学者が政治的に重要な役割を担うことになったことが人々の信仰実践に如何なる影響を与えたか?という点と、イスラーム国家の誕生によってイラン宗教界にどのような影響が及んだか?という二点を明らかにすることに研究の目的を置いている。まず、宗教界と社会の関係については、宗教界の存立基盤を明らかにするとして、その史的展開の概要を理解することを試みる。次に、宗教と国家の関係を、国家が宗教界を支配構造下に組み込んでいく過程を検討する。さらに、社会のイスラーム化が一般信徒の信仰生活に及ぼした影響についても論じるのである。
また、『戦争の記憶と国家――帰還兵が見た殉教と忘却』世界思想社、2021年、においては、1980年代に8年間に及んで続いたイラン・イラク戦争に関連して、戦死した兵士たちの記憶はいかに保たれ、忘れられるのか、あるいは、支配体制や「軍」を支えている原動力とは何か、といった問いに基づいて、著者は綿密な聞き取り調査を行なっている。このモノグラフにおいては、イラン・イラク戦争に従軍した帰還兵に焦点を当てた「生きられた宗教」の叙述として、現代宗教研究の新しい地平を切り開き、聞き取り調査から現代イランの国家と人びとのありようを内側の視点から描きだした実証的な研究として高く評価されている。
『近代日本におけるイスラームの転回―漂泊する知の考古学』春風社、2025年、においては、イスラームという信仰が、近代日本でいつ発見され、どのように理解されてきたのだろうかという問いに基づいて、西洋と中国という経路によってもたらされ、仏教やアジア主義といったフィルターを通して変容し、やがてその一部は忘れ去られていったか、という知の系譜を掘り起こす試みもおこなっている。その際、新井白石による「マァゴメタン」の発見、文久遣欧使節団の「仏像」なきモスク体験、「怪傑マホメツト」像の創造、山岡光太郎に先立つ中島裁之の「メッカ」視察談の謎、そして大正三年の「巡礼船事業」などの事例を通じて、日本はどのようにして、独自のイスラーム観を形成してきたのかを明らかにしている。
さらに、黒田氏は、学術書や学術論文を通じて中東地域研究への学術的な貢献を果たしてきただけでなく、『イラン現代史――イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』中公新書、2025年、という媒体を通じて、一般市民に幅広く認知されており、中東地域研究の社会的意義の周知にも寄与してきたとも評価される。
加えて、『サトコとナダ』から考えるイスラム入門 ムスリムの生活・文化・歴史 』(椿原 敦子との共著)星海社新書、2018年、では、イスラムに対するステレオタイプなイメージをリセットし、よりよいお付き合いのためのヒントを探るための一般向けの入門書も著している。 以上のような中東地域研究に関する学術的な実績および社会的な貢献から黒田賢治氏に地域研究奨励賞を授与するものである。
(大同生命地域研究賞 選考委員会)