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特定非営利活動法人 四国グローバルネットワーク(共同代表 竹内よし子)
略 歴

特定非営利活動法人

主要略歴 :   1998年   任意団体として発足 

                     1999年   モザンビーク平和構築支援開始

                     2003年   ESD関連事業開始

                     2004年   四国NGOネットワーク設立

                     2006年   NPO法人化 2008年 環境省四国環境

                                  パートナーシップオフィス事業受託

                     2009年   モザンビーク大統領訪問受入事業実施

                     2012年   モザンビーク首相交流事業実施

                     2017年   四国ESDセンター事業開始

                     2020年   東京オリンピック・パラリンピック関連事業実施

                     2025年   大阪・関西万博関連事業実施

       
 

          現在に至る


受賞・表彰歴 
    •        2007年   松山市市民活動推進事業表彰
    •        2007年   国際交流基金地球市民賞
    •        2009年   愛媛新聞賞
    •        2009年   松山市市政功
    •        2009年   外務大臣表彰
    •        2014年   ソロプチミスト日本財団社会ボランティア賞
    •        2019年   JICA理事長賞(竹内)
    •        2019年   松山市市政功労者賞(竹内) 
 
 

業績紹介

「「武器アート」を通じたモザンビークの平和構築への支援と国際交流」 に対して

 

四国グローバルネットワークは、地域社会に根ざした国際協力活動を通じて、地球規模の課題に向き合ってきた団体である。なかでも特筆すべきは、アフリカ南部モザンビークにおける「武器をアートへ(Transforming Arms into Art)」支援活動を通じ、紛争後社会の再生と文化的復興に貢献してきた点である。この活動は、地域研究が単なる地域の分析や記述にとどまらず、人々の生活世界に寄り添いながら、平和構築や文化創造に参与する実践知であることを示している。

 同団体は、1998年に愛媛県で始まった国際協力活動「えひめグローバルネットワーク」を基盤として発展し、市民、研究者、教育関係者、NPO、自治体など、多様な主体を結びつけながら、地域と世界をつなぐ活動を展開してきた。そのなかでもモザンビーク支援は、同団体の理念と実践を象徴する重要な取り組みである。

 モザンビークでは、1975年の独立後、長期にわたる内戦が続き、大量の武器が社会に残存した。1992年の内戦終結後も、自動小銃や地雷などが地域社会に深い傷跡を残し、人々の生活再建や社会的信頼の回復を妨げていた。このような状況のもとで始められた「武器をアートへ」プロジェクトは、不要となった武器を回収し、それを芸術作品へと再生させる活動である。暴力の象徴であった武器を、平和と創造の象徴へと転換する試みは、紛争後社会における和解と再生の象徴的実践として国際的にも高く評価されている。

 四国グローバルネットワークは、この活動を単なる支援事業ではなく、地域研究的視点に基づく協働実践として推進してきた。モザンビーク社会の歴史や紛争経験、人々の記憶や共同体の構造を丁寧に理解し、現地住民やアーティストとの対話を重ねながら活動を展開してきた点に特徴がある。そこでは、日本側が一方的に支援を与えるのではなく、現地の主体性を尊重し、ともに平和構築を進める姿勢が重視されてきた。

  特に重要なのは、えひめグローバルネットワーク時代に行われた中古自転車の提供活動である。日本国内で不要となった自転車を回収し、モザンビークへ送るこの活動は、単なる物資支援にとどまらない意義を持っていた。現地では、自転車は人々の生活を支える重要な移動手段であると同時に、武器回収を促進するための交換物資として活用された。住民は武器を提出する代わりに、自転車や農具など生活に必要な物資を受け取ることができ、この仕組みは武器回収の促進と地域社会の復興に大きく寄与した。

  さらに、回収された銃器は、現地アーティストの手によって鳥や樹木、人間像など多様な芸術作品へと生まれ変わった。武器アートは、暴力の記憶を消去するのではなく、それを可視化し、新たな意味を与える営みである。紛争の歴史を平和への希望へと転換する象徴的表現として機能してきた点に、その大きな意義がある。

  同団体は、武器アート作品の展示や講演会、教育活動を日本国内でも積極的に展開してきた。とりわけモザンビーク独立50周年にあたる2025年には、武器アート作品を 国立民族学博物館、立命館大学国際平和ミュージアム、聖心女子大学 に寄贈し、紛争の記憶と平和への願いを次世代へ継承する取り組みを行った。これらの活動は、アフリカの紛争問題を遠い世界の出来事としてではなく、平和、人間の安全保障、多文化共生といった普遍的課題として共有する場を創出してきた点で高く評価される。また、この活動には地域住民や学校、市民ボランティアも広く参加しており、国際協力を市民参加型の実践として地域社会に根づかせてきた。

 このような取り組みは、地域研究における「知の公共性」を体現するものである。従来の地域研究が研究者による分析や記述を中心としてきたのに対し、四国グローバルネットワークは、研究成果を社会実践へと接続し、多くの市民や若者が世界の課題を自らの問題として考える契機を生み出してきた。また、モザンビークの紛争や貧困、武器問題を、日本社会における平和や共生の課題とも関連づけて考えてきた点にも大きな意義がある。

  さらに、芸術を媒介として地域研究を社会に開いてきた点も画期的である。武器アートは、学術的言説だけでは十分に伝えきれない紛争の記憶や人々の感情を、視覚的かつ身体的に共有させる力を持つ。四国グローバルネットワークは、この芸術的実践を通じて、人類学、地域研究、平和学、芸術活動を横断する新たな知の領域を切り拓いてきた。

以上のように、四国グローバルネットワークは、モザンビークにおける武器アート支援を通じて、地域研究の新たな可能性を示してきた。その活動は、地域社会に根ざした市民的実践とグローバルな課題への参与を結びつけ、平和構築と文化創造に大きく貢献してきたものである。よって、選考委員会は一致して大同生命地域研究特別賞を授与することを決定した。

 

(大同生命地域研究賞 選考委員会)