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大村次郷氏は、アジア・オリエントをひたすら撮り続けてきたフォト・ジャーナリストである。
この30年間、朝鮮、中国大陸、東南アジア、インド亜大陸、西アジア、オリエントの地域におもむくこと、実に350回に及ぶ。取材の対象も、かつての四大文明、三大世界宗教を基盤とする考古、美術の遺跡、諸地域の民俗、宗教、儀礼、祭りから人々の暮らしにまで及んでいる。市場、茶店から小さな家々の台所。人々は何をどう食べているのか・・・。そして植民地、内戦の悲劇と、ありとあらゆる領域にわたる。
ある時は厳寒のカッパドキアの洞窟にもぐっていると思えば、ある時はベトナムの枯葉剤の爪跡を撮っている。またある時はフィリピン高地のライス・テラスを取材し、ある時は極暑の南インドでダウ船をつくる人々にカメラを向けているのである。
今世紀のアジアは植民地の傷跡深く、哀しく貧しい人々に溢れている。しかし、大地はあくまでも豊穣で、その生命力は決して衰えていない。大村次郷氏は、さまざまな切り口でそのアジアの諸相を捉えるのだ。大村氏の仕事は、写真を通じてアジアを思索する作業と言える。
写真とともに彼の書く文章もまた魅力的である。それは地を這うような取材から得た真実の報告だからである。それはまた全アジアの人々への愛に裏打ちされているからである。
21世紀のアジアの姿を考えるうえで、氏の持続的に積み重ねた業績が果す役割は大きいと言えるだろう。
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